熊本人を味わう 3つのチーズケーキ的考察



熊本人のチーズケーキ感には、ええ、ずっとやられっぱなし。

昨日書いた濃厚ティラミスちゃんで熊本を変えてみっかけど、熊本に世話になり20年にもなると やっぱりどうしても 愛がすごい。
だからこそ、今でもどうしても外から見ながら引っ張っていきたいし、歯痒いことが多いのは…好きなんやろね、ここが。

それこそ、ずっと農家さんと付き合って長いけど、まさに熊本県民性がわかりやすいタイプばっかり。
もうね、しんどくてキツくてわけわからんとこばっかりで、でも可愛くてカッコよくて心の底から信頼してるし、大好きですね。
その農家さんの応援団長でいたいから土のめぐみを始めたんだから。
(その農家をネタにしてあざとく利用したり口車に乗せるだけのヤツがいっぱい…あ、それはまたリアルで話します)

 

で、なんやかんやと言いたいので、まぁスイーツでもいただきながら。

 

 

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いきなりアップルパイがドッカーンと。
昨日の濃厚ティラミスに引き続き、オーナー自らリンゴを厳選して妥協なく作り上げたパイがまた美味かった。
こちらは、パティスリーアイチローさん。

 

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オーナーの松山さんと初めてお会いしたんですが、どうも初めてという気がしなかったんですよね。
いや、まったくの初対面ですよ。 ちょっとした繋がりでご縁はあったけど。
同世代だけど、でもそれだけなのになぜか昔会ったことがあるような気がし…

あっ、農家さんだわ。
オーナー、というかパティシエ、というよりも 彼の思いや仕事は完璧に「農家さん」
それだわ、それ。

 

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このクッキー1枚にしても、ちょっとだけ話し込んでヒアリングすると、まぁ愛がとんでもない。
パッと見てもわかんないんだけど、えっ!そんな強烈な手間かけてんの? ってくらい。
まず考えられないくらいの時間と苦労と愛情が込められてい… ほらっ、やっぱり農家さんだって。

 

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これが、まいった。
ただのチーズケーキだと思って油断してた俺が悪かった。
食べる前に(あ、これ、普通じゃない)って一瞬でわかる。
ズズン って、めっちゃ重いんよ。
(ドンっでもなく、ズシっでもなく、もはやズズンですから)

フォークが折れるんじゃないの?ってほどの超密度にびっくり。
さらにその凝縮チーズ感が尋常じゃない。幸せまったり感にもほどがある。(笑)
これもヒアリングするとね、その生地の立ち上げ方が…
あ、いや、この制作話しはまたじっくり改めて。

そのスイーツ作品を作られてるオーナーも完全に農家さんだし。
で、完璧に 愛する熊本人 だし。

 

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ずっと俺が思ってる 『熊本気質』 ってのが大きく3つある。

 

その1 肥後もっこす

「もっこす」なんて言葉はまず使わんからわからんだろうけど、要するにガンコ者ってのが一番近いかも。
四国・高知の「土佐いごっそう」、東北・青森の「津軽じょっぱり」と並び、日本の三大ガンコらしいね。
天邪鬼だし、気性は荒いし、強情だし、偏屈(大阪ではヘンコやね)なもっこす人は数多い。
逆に言えば、一本気だし、無骨だけど気骨があるし、男らしく一徹なもっこす人というカンジ。
土のめぐみ“サムライ野菜” ってのも、ある意味そこからも来てるし。
まさに一匹狼的な、サムライのようなかっちょいい農家さんが多いんです。
そんなオヤジ、惚れるよね。 やっぱ。

 

その2 肥後の引き倒し

まぁしかし、強烈なコトバではあるね。これ。
「肥後の引き倒し・ 鹿児島の芋づる」っていうんだって。
鹿児島の芋づる ってのは、他人が成功すればまわりも芋づるのように喜んで、その人の影響で応援者も成功する、という意味らしい。
肥後の引き倒し ってのは、他人が成功すればまわりは足を引っ張って倒すことを考えて、なかなか成功者が出ない、という意味らしい。

これは正直、ものすっごくわかる。 見事な熊本人気質だろうね。
「出る杭は打たれる」どころか、とにかく杭にはならない人がめっちゃ多い。
まぁ、まず冒険をしない人がほとんどだし、ホントに保守的。 野球は巨人。(笑)
プライドが大切で、メンツにこだわって、恥をかくのは死亡フラグ。
「あん人が入るなら、私は入らんちゃよかです」とか、そんな類の調整は山ほどしてきたもんね。
という反面、やたらと競争心が強くて、新しいものはめっちゃ好き。
誰かが新しいことにチャレンジするのを(黙ってひそかに)見てるけど、ホントは最高潮に興味あるのね。
で、それが軌道に乗ったり成功したらまぁイッキに来る。 類似品や同じ業態がドンドコ来る。(笑)

これね、実はなかなか気が小さいんですよ、ホントは。
外ヅラは完璧に気が短かくてへそ曲りな九州男児だけど、仲間意識がすっごく強くて情に厚い。
だから、外から来た人にはとんでもなく壁が高くて 溶けこむのはかーなり難しいと思う。
でも、壁のこちら側に入ったら真逆。 ものすいごい結束力。 義理人情はホントに固いよね。
これは20年の経験上、痛いほど、怖いほど、泣いて感激するほどよく知ってる。
なので、実は言葉にできない感謝は星の数ほど。

 

その3 よか

つまり「いいですよ」ってこと。標準語で言うとなんだかそっけない気がするけど。
大阪弁で言うと、俺の座右の銘である「ええねん」 ってカンジ。
初めてこの地を訪れた時、この言葉にショックを受けたことを覚えてる。
熊本人、特にこの土のめぐみの産地の農家さんがいう「よか」っていうのは、本当に「よか」なんです。
・・・えっと、わかりにくいね。(笑)

大阪で生まれて大阪で育って、ややもすると「人を見たら泥棒と思え」的な、生き馬の目を抜くような殺伐とした商社の社会で生きてきたのでね、ずっとね。
だから初対面の農家さんが好意で「よか」って言っても、まぁ素直にそのまま信じられなかったもんね。そんなええ話しウソに決まってるやん、とか。
いや、俺がひねくれてるってわけじゃなくて(え?ひねくれてた?・笑)農家さん、というか熊本人の「よか」っていうのは まっさらなホントに「よか」だったんです。
ずっと疑ってかかってた自分に、自分の生き方ショックを受けましたね。 あの頃。

 

 

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地方ではね、地域にいるとわかるんです。
特に農業ってのは『育てる』という世界なんですよ。 そこは都会とはまたひと味違う。
ケンカしても、諍いがあっても、まったく新しいことをするにしても、その土地を守るということ。
簡単に引っ越しなんてできないし、どっしりと構えて大自然と向きあわなくちゃいけないしね。
もっこすも、引き倒しも、よかも、仲間と一緒に、累々築き上げてきた土地とともに じっくりと育てて行くという世界なんですね。

 

これ、すごいですよ。
逃げる気なんかさらさらないもんね。
この一本気感、この安定感、このチーズケーキ感。(笑)

 

くそっ。 やっぱ熊本好きやわ。


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